天然ホルモン補充療法 【後半】
Natural Hormone Replacement Therapy
半の天然ホルモン補充療法では、ホルモン分泌の減少が私達の身体に及ぼす影響やそこから生じる症状などをご紹介しました。後半では天然ホルモン補充療法の具体的な内容をお伝えします。前半の天然ホルモン補充療法に関しては上記オレンジ色のテキストからご覧頂けます。
ホルモンには天然(生体同一性)と合成がある
通常の保険診療で広く行われているホルモン補充療法には、合成ホルモンが使われ、これらの合成ホルモンは、発がんの危険性から5年以上は通常使用されません。
くの女性がホルモン補充療法に二の足を踏むのはこのためと考えられます。(プレマリンは、馬の尿を使った女性ホルモン製剤で、天然に存在するので天然のホルモンだと言われますが、ここでいう天然ホルモンとは意味が異なります)
海外では、ヒトのホルモンと同じ化学構造式を持つ天然ホルモン(医学的には生体同一性ホルモンと言います)があり、加齢性の病気予防のために広く使われています。
天然ホルモンは、ヤムイモなどの天然成分が原料となり、海外では調剤薬局で取り扱われています。
海外ではすでに20年以上も使い続けて若々しい健康を維持している方もおられます。予防目的で長く使用するため、できるだけカラダに負担がかからない安全なものである必要があります。
一人ひとりに必要なホルモン量は、環境や遺伝子、生物学的リスクファクターなどにより異なっており、慎重に個別対応することが求められます。天然とはいえ、量を間違えると副作用が出る場合もあり、天然ホルモンを熟知した専門医に相談して自分に必要な量を使用することが重要です。
補充できる天然ホルモンはどのような種類があるか
補充できる天然ホルモンには以下のような種類があります。
- コルチゾール
- エストロゲン(E1, E2, E3)
- プロゲステロン
- プレグネノロン
- 甲状腺ホルモン
- DHEA
- テストステロン
- メラトニン
- 成長ホルモン
なぜ天然ホルモン補充を行うとよいのか
天然ホルモン補充を行うとよい理由は、大きく分けて下記の5つです。
- 更年期症状からの離脱
- 記憶力の保持(認知症予防)
- 心臓血管の健康維持(動脈硬化予防)
- 骨の健康維持(骨粗鬆症の予防)
- 組織の成長と修復(病気予防)
いつからホルモン補充を始めるのがよいのか
甲状腺やコルチゾールは、異常が見られたときに必要な期間の補充が望まれます。女性ホルモンは閉経後10年以内に始めるのがよく、5年と言わず20-30年の長期にわたり使われています。
天然ホルモン補充を行うための検査は
下垂体ホルモンや甲状腺ホルモンは、血液で評価を行います。
コルチゾールは、日内変動があるために一日4回唾液を採取して、日内変動を評価します。性ホルモンは、DHEA-S, エストラジオール(E2)、テストステロンは血液検査で測定できますが、エストロゲンの細かい分画であるエストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストロン(E3)や生物学的活性のあるホルモン量は、唾液や尿で測ることができます。
血液中のホルモンのほとんどは結合タンパクと結合していますが、唾液中に分泌されたホルモンはそれらのタンパクと切り離されたfreeのホルモンであり、より正確にその人のホルモン活性を示すと言われています。
エストロゲンの中で特に乳がんと関係が深いE1エストロンが肝臓でどのように代謝されるのかは、尿検査で評価できます。またエストロゲンが解毒されるメチル化の過程も尿で検査されますので、より安全にホルモン補充をしたい方は、尿検査までされることをお勧めしています。
天然ホルモンが届くまで
検査でホルモンバランスがわかったら、必要なところを補ってバランスを整えるために、患者さま一人ひとりに必要な量のホルモンを海外の調剤薬局に処方箋を送り、約3週間でクリニックに届きます。
天然ホルモンは一人ひとりの方に異なる量を処方することと、保存料が入っていないため使用期限が短く、大量に注文して置いておくことができません。
発注からお届けまで約3週間かかります。滞りなくホルモンをお届けするためには、早めの連絡や確認が必要となりますのでご協力をお願い致します。
ホルモン補充をするにあたり、気を付けるべきこと
*合成ホルモンから天然ホルモンへの切り替えを希望される方は、ご相談ください。