加齢医療のテーマは、端的にいえば「細胞の老化のスローダウン」です。
さらにいえば、将来発症する危険性がある疾病を事前にキャッチして、病気にならない体をつくるという予防医療が柱になっています。
脳梗塞・心筋梗塞を引き起こす動脈硬化や、認知症や骨粗鬆症などは、加齢に伴うホルモンの低下や代謝機能低下などによって起こってくると言われています。
それらの異常を素早く察知して、先手を打っていくのが予防医療です。通常行なわれている一般的な検査だけでは不十分ですので、海外にはそれらを専門にする検査機関があります。
健康院では、アメリカやオーストラリア、ギリシャなどにある検査機関と提携し、世界標準の予防医療を提供できるよう体制を整えています。
では、具体的に健康院では何をするのかをお話しします。
腸内環境を整える
まずは腸内環境についてです。
人間の免疫力の八割は腸で決まるといわれるほど、腸は免疫にとって大切な臓器です。
そのため、私たちは最先端の手法を用いて腸内を徹底的に検査します。
特に注意するのは「遅発性食物アレルギー」です。
しかし、じつはそのほかに、まだあまり知られていない遅発性食物アレルギーと呼ばれる深刻な炎症反応があります。こちらは、食後二四時間以上たってから、つまり忘れた頃に症状が出てきます。
この深刻なアレルギーの原因としては、ストレスや間違った食習慣が考えられます。
えば、人体がストレスを浴びると、ウイルスをはじめとした外敵から守ってくれる白血球の働きが悪くなり、腸の免疫細胞の活動が鈍くなります。ストレスによって、腸が炎症を起こしやすい培地ができてしまいます。
そこで多くの人が、「どうもお腹の調子がよくない」と市販の胃腸薬を服用します。特に日本人は、胃腸薬が大好きです。抗生物質を安易に飲むことにも問題があります。抗生物質を口から摂取すると、腸内の善玉菌までやられてしまい、その結果として腸内環境が悪化することがあります。
制酸剤を多用すると胃酸の分泌が少なくなり、食物の消化や殺菌が不十分となります。腸壁には食べ物を吸収するための細かな穴が開いていて、通常はその穴を通じて食物がス~ッと中に入っていく仕組みになっているのですが、この穴が未消化の食べ物でふさがれてしまうと、人体の免疫機能が働き、これを異物とみなしてしまいます。異物は排除しなければならないので、抗体(IgG抗体)をつくって攻撃を初めてしまいます。
このようにして腸に炎症が起きるのです。
以上のプロセスで起きるのが遅発性食物アレルギーといわれるもので、一般にはまだあまり知られていませんが、日本人にもとても多いアレルギー反応だとされています。
遅発性食物アレルギーからみる食生活と免疫
このアレルギーを引き起こしているかどうかは、現在96品目の食品について血液で調べることができ、多く見受けられるのが、主に小麦やグルテン、酵母、卵や乳製品などです。
一般的に健康によいとされている食品でも、一人ひとりの身体で見るとアレルギーを引き起こす食品となっていることがあり、むしろ、健康によいからと毎日大量に食べていると、かえって炎症を引き起こしてしまてっていることもあります。
一生涯ついて回るIgE抗体とは異なり、IgG抗体は食生活の改善などによって治りますので、怖がらずに検査をして自分の食生活を見直すきっかけにしていただければと思います。
食物アレルギー検査で、多数の品目に強い反応が出ている方には、さらに詳しい検査として、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸・消化酵素などを調べる便検査、腸の上皮の透過性を診る尿検査(腸管侵漏症候群を診断する)をお勧めする場合があります。
腸内にカンジダや悪玉菌が繁殖していたり、慢性炎症で腸の上皮が荒れていると、せっかく摂った栄養素の吸収がうまくできなかったり、本来通すべきでない未消化の食べ物が腸の壁から体内に入ってきて、ますます炎症を悪化させることになります。そのような場合は、積極的に天然成分を中心に用いて治療を行います。